疏水百選とは、農林水産省と疏水百選の実施事務局によって平成18年に選ばれた疏水100ヶ所です。疏水とは、農業用に設けられた水路のことで、人工的な流水経路を指します。
日本は稲作の盛んな国として、国内に実に40万キロに及ぶ疏水を有しています。しかし、昨今の稲作生産量の低下、農業の衰退などが影響し、疏水本来の存在意義は徐々に失われつつありました。そこで、日本伝統の景観として美しい疏水の価値を見直し、その保全を推し進める目的で、疏水百選が選ばれました。
疏水は生態系に与える影響も少なく、自然と共生する優れた農業システムとして先人の知恵を偲ばせます。また、環境アセスメントの観点からも、疏水は非常に高い価値を見出されているようです。さらには、観光スポットとして、疏水に沿ったウォーキングコースの整備や、ボートによる遊覧コースの新設、地域主催のイベントなど、様々な試みがなされています。
環境保全の対象としてだけではなく、観光資源、あるいは地域復興の一環として、その地域になくてはならない重要な存在と目される疏水も、全国には数多く存在します。
日本固有の景観として、海外の観光客からもかなり高い評価を得ているようですね。歴史が浅いこともあってまだまだ知名度の低い疏水百選ですが、古きよき時代の日本を思い起こさせるその風景は、今後さらなる価値を見出されることでしょう。