日本の音風景百選は、環境庁の公募によって選出された「未来に残したい音風景百選」です。様々な騒音が氾濫する現代社会において、日本古来の美しい音風景を保全しなければならない、そんなコンセプトに基づき選ばれました。選ばれた音風景は多種多様。お寺の鐘の音、蛙の鳴き声、海岸の波音、祭りの笛の音など、日本の自然や文化に根ざした音の数々が選出されています。
景観主体の「目で見て楽しむ」百選は数多く存在しますが、「聞いて楽しむ」百選はいかにも珍しく面白い試みとして、大きな話題を集めました。ただし、必ずしも隠微な音だけが選考の対象となっているわけではなく、
青森のねぶた祭りのように、全国的な知名度を誇るイベントも選出されています。
一方では、あまり観光に寄与しないような環境音も選ばれており、いわば地域のシンボルとして、伝統や自然を保全すべく百選に選ばれたケースもあるようです。よって、音風景百選=観光名所というわけではなく、あくまで「日本伝統の音風景」として考えたほうが良いでしょう。また、特定の季節にしか聞くことの出来ない音風景も多いので、現地を訪れる際は時期に気をつける必要があります。
風情ある日本の音風景は、後世に残すべき私たち日本人の貴重な財産といえるでしょう。